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2023.6.15

《トップに聞く》遠山産業社長 遠山卓郎氏 ビジネスの領域を広げる

羽毛製品の製造から、テキスタイル販売、飲食事業、高齢者向けのコミュニティー施設構想などビジネスの幅を拡大している遠山産業。激動の時代にあっても、生き残っていける企業体構築を目指している。

(森田雄也)

 当社は愛知県津島市に自社布団工場を構えています。羽毛の充填(じゅうてん)から羽毛製品の縫製、出荷まですべて一貫して行っています。現在、工場はフル稼働し、キャパシティーがいっぱいの状態です。元々ファッションと比べると安定しているアイテムと言えますし、コロナ下では家ナカ需要の高まりという特需もあって、受注は逆に増えていました。

 それもあって、今期(24年3月期)は羽毛を詰める充填機を1台追加しようと考えています。現状は充填機が2台あり、羽毛製品の生産能力は年間2万枚から3万枚です。充填機を拡充することで、年4000から5000枚は生産能力がアップすると思っています。ほかにも、羽毛製品については、応援購入サービス「マクアケ」でこれまで数回リリースしています。

 羽毛製品についてはリサイクルする動きも少しずつスタートしました。津島にある羽毛工場の隣の倉庫に、使用済みの羽毛製品が集まってきています。ある程度たまった段階で、羽毛原料の精製加工などを行う専業メーカーの力も借りて、リサイクルする羽毛を選別・洗浄していきます。

 テキスタイル事業では、尾州産地は厳しい状況が続いています。特に廃業してしまう機業場が増えています。雇用調整助成金の支給が終わったり、高齢化の影響かもしれません。

 当社としては生産場の確保として、機業場と取り組みながら年間を通じて工場に仕事を発注できるような形での取り組みを進めています。機械はきれいだし、やる気のある経営者もたくさんいます。

 併せてテキスタイルから製品までの一貫提案として、昨年アパレル製品のノウハウがある人材を東京に2人配置しました。1年経過しましたが、まだまだ伸ばす余地があります。うちが提供できるテキスタイルにあった販売先と取り組んでいくことが必要でしょう。

 当社は自動車学校もありますので、昨年4月に老朽化もあり閉鎖した当社の準天然温泉「あさひ湯津島」(愛知県津島市)を活用して、高齢者の自動車運転の講習業務を行っています。高齢者向けコースも作りました。

 さらに「運転寿命延伸プロジェクト」もスタートしました。これからフィットネス器具を入れるほか、画面を見ながら、自転車をこぎ認知機能を高めるためのコグニバイクなども導入予定です。体を動かしながら脳も使うというマルチタスクは認知機能向上にすごく良いと聞きます。

 今後さらに、そこにカフェを作ったり、私自身も好きなサウナなども取り入れたりと、高齢者の憩いの場を作っていきたいと思っています。

引用

繊研新聞 2023/6/9 記事より